音声学・音韻論の介入が強化するセラピーの成果:音声学と音韻論の役割

2014年1月20日
標記の講演会についてご案内いたします。概要は以下の通りです。
日時・会場等の詳細につきましてはPDFファイルをご覧ください。

[PDFファイル] 音声学・音韻論の介入が強化するセラピーの成果

概要

  • 日時:2014年2月16日(大阪),17日(浜松),19日(広島)
  • 共通タイトル:音声学・音韻論の介入が強化するセラピーの成果:音声学と音韻論の役割
  • 第1部:ジョセフ・P・ステムバーガー 「音声転写における調音音声学と音響音声学」
  • 第2部:B.メイ・バーンハート 「音韻論的評価と音韻論の介入:非線状音韻論の応用」
  • セミナー(講演会)要約
     音韻論を用いた介入は,すなわち音韻論を用いて分析やセラピーを行うのは,効果的であるが,複雑な問題や特定の発音の困難さを持った者に対しては,非効率だったり,うまくいかないことすらある。しかし音韻論の介入結果は,音声学と音韻論の知識を適用することで,セラピーの効果を高めることができる。それをこのセミナーで実例に即して解説する。セミナーは以下の第1部と第2部からなる。
  • 第1部:発話に現れた症状の音声学的な転写は,個々の発話の問題点の記述を正確にするだけでなく,新たな調音(構音)を指導するのにも役立つ。幼児・児童の音声言語の発達に適用できるような音声学的表記の鍵となる側面を概観する。そして音響分析と超音波画像をどのように音声表記に利用するかを手短に例示する。主な言語資料は子供の日本語獲得に関するものからとり,補助的に他の言語のものも扱う。
  • 第2部:非線状音韻論(音素論や生成音韻論のような時間軸状に配列された構音に関わる音韻単位の成り立ちではなく,より現実的な自立分節理論等を用いた同時進行・並列処理で行われる構音やプロソディの生成に関する音韻論)の理論とそれがどのようにセラピーに用いられてきたかを概観する(参照:上田 功(2008):「音韻理論と構音障害」『音声研究』第12号第3巻,pp.3-15. )。幼児・児童の日本語学習のデータを使って,セラピーのプログラム(症状の音韻論的な分析,構音矯正の到達目標,セラピーの方策)を展開し具体的に説明する。フリーアクセス(無料提供)の評価と分析の資料を紹介・提供する。
  • 講演者履歴概略
    • ジョセフ・P・ステムバーガー博士;ブリテッシュコロンビア大学(カナダ)言語学科教授,専門分野は成人の発話産出処理ならびに子供の母語獲得の音韻論と形態論である。そしてその研究対象は多言語におよび,特に近年では英語,ソロヴァキア語,ザポテック語を研究している。
    • B.メイ・バーンハート博士:ブリテッシュコロンビア大学(カナダ)聴覚医学・音声科学院教授,公認の音声・言語病理学専門職(スピーチセラピスト),専門分野は,言語発達,評価,ならびに音声学・音韻論を用いての研究,教育と指導と臨床。主な研究領域は非線状音韻論を利用した音韻論的な評価に関するもので,近年は,ステムバーガー博士等と大規模比較言語研究(日本語を含む11言語)を展開している。
(科研「言語の普遍性と個別性を考慮した言語障害の症状の解明とそのセラピーの研究」チーム)