会長挨拶

前川 喜久雄 (Kikuo MAEKAWA)
国立国語研究所教授(Professor, National Institute for Japanese Language and Linguistics)

 この度,理事のみなさまに推挙されて日本音声学会の第15代会長をお引き受けすることになりました。1998年に第8代梅田博之会長の理事会で編集委員長を拝命したのを皮切りに多くの委員長職を務めてきましたが,これを最後のご奉公と考えて,これからの3年間,気をひきしめて仕事に取り組みたいと思います。

 昨今,我が国の言語系諸学会はいずれも運営上の課題に直面しています。とりわけ少子化による会員数減少とそれにともなう会費収入の低減は,本学会にとっても避けて通ることのできない問題です。昨年度には,和文学会誌に対する科研費刊行費の実質上の打ち切りとあいまって,財政状況の悪化に対する具体的な対応が必要な段階に立ちいたったことはみなさまご存知のとおりです。 前期理事会は,今泉敏会長のリーダーシップのもとにこの問題に取り組み,学会誌『音声研究』の発行形態の変更などの対策を講じました。その効果の検証は,今年度の重要な課題ですが,その結果次第では,一層の努力が要求される可能性もあります。中長期的に持続可能な財政状態の確立が今期理事会の最大のミッションであると認識して,会員のみなさまのご理解,ご協力をえながら問題解決に取り組む所存です。

 日本音声学会は我が国の言語学系学会としては最も長い歴史をもつ団体であり,2026年には創立百周年を迎えます。創立以来,会員に研究発表の場を提供するとともに,最新知識の普及に貢献し,会員親睦の機会を提供することで,音声研究者の自己実現を扶助してきました。このような機能は,学会の存在理由そのものであり,当然,今後も維持しつづけなければなりません。参加してワクワクする学会, いつも何かを学べる学会,研究意欲を刺激されて自分も発表してみたくなる学会,そして社会に開かれた学会を目指したいと思います。これから3年間,どうぞよろしくお願いいたします。