会長挨拶
日本音声学会第17代会長
斎藤 弘子(Hiroko SAITO)
2025年4月1日より3年間,日本音声学会第17代会長を務めることとなりました。本学会は「音聲學協會」として創立された1926年から数えると来年100周年を迎えます。すでに記念事業の準備も進められています。そのような大きな節目を含む3年間,この歴史ある学会を牽引していくという大役を非力な私が果たすことができるか,我ながら心もとない次第です。
振り返ると,私が大学で専任職を得て初めて会員となった1988年は,ちょうど第5代会長平山輝男先生のもと,日本音声学会が新しい体制となった年でした。また,同年10月に東京の昭和女子大学で開催された大会は,全国大会としてはまだ2回目でした(第1回は1987年)。その後は新型コロナウィルス蔓延のため完全オンライン開催を余儀なくされたこともありましたが,全国大会は毎年欠かさず開催され,今年第39回大会が神戸大学で開かれます。このように,日本音声学会は60周年を迎えたのちに新たな体制となり,現在に至っております。
本学会ウェブサイトの「沿革」によると,「『音聲學協會』の創立当時の趣旨は『本会ハ広ク日本語及ビ日本領土内ノ言語ノ音声ヲ研究スルコトヲ目的トスル.』(会則第1条)」で,「現在の学会趣旨は『諸言語の音声に関する研究を促進し,併せて会員相互の連絡提携を図ることを目的とする』(会則第2 条)」とあります。この趣旨のとおり,たとえば直近の2024年開催の全国大会では日本語に関する発表が10件だったのに対して,日本語以外の言語を含む研究発表は17件,そしてなによりも,英語で行われた特別講演もワークショップも,日本語以外の言語に関するものでした。
私自身,専門とする分野は英語の音声に関する研究です。私の知っている日本音声学会は,運営面で新体制となり会員の研究対象として日本語以外の言語の音声にも目が向けられるようになった学会なのです。私もこの5 年間,会の音声学普及委員会が主催する「英語音声学入門講座」の講師の一人として,音声学の普及のために尽力してまいりました。
このように,日本音声学会は,この100年の間に当然のことながら変化を遂げてきました。ただ,少子化と諸学会の細分化に伴う会員数の減少という問題は相変わらず存在し,解決の糸口が見つかっていません。
そうした状況の中,歴代の会長の挨拶で聞かれる「理事の支えがあるので心強い」という言葉は大きな救いで,私もここに同じ言葉を繰り返したいと思います。また,会員の皆さま一人ひとりの支えを頼りに,言語学系学会としてはもっとも歴史のある日本音声学会を,100周年,そしてさらにその次の100年に向けて皆さまとともに盛り上げていくべく,微力ながら最大限の力を尽くしてまいります。
斎藤 弘子(Hiroko SAITO)
2025年4月1日より3年間,日本音声学会第17代会長を務めることとなりました。本学会は「音聲學協會」として創立された1926年から数えると来年100周年を迎えます。すでに記念事業の準備も進められています。そのような大きな節目を含む3年間,この歴史ある学会を牽引していくという大役を非力な私が果たすことができるか,我ながら心もとない次第です。
振り返ると,私が大学で専任職を得て初めて会員となった1988年は,ちょうど第5代会長平山輝男先生のもと,日本音声学会が新しい体制となった年でした。また,同年10月に東京の昭和女子大学で開催された大会は,全国大会としてはまだ2回目でした(第1回は1987年)。その後は新型コロナウィルス蔓延のため完全オンライン開催を余儀なくされたこともありましたが,全国大会は毎年欠かさず開催され,今年第39回大会が神戸大学で開かれます。このように,日本音声学会は60周年を迎えたのちに新たな体制となり,現在に至っております。
本学会ウェブサイトの「沿革」によると,「『音聲學協會』の創立当時の趣旨は『本会ハ広ク日本語及ビ日本領土内ノ言語ノ音声ヲ研究スルコトヲ目的トスル.』(会則第1条)」で,「現在の学会趣旨は『諸言語の音声に関する研究を促進し,併せて会員相互の連絡提携を図ることを目的とする』(会則第2 条)」とあります。この趣旨のとおり,たとえば直近の2024年開催の全国大会では日本語に関する発表が10件だったのに対して,日本語以外の言語を含む研究発表は17件,そしてなによりも,英語で行われた特別講演もワークショップも,日本語以外の言語に関するものでした。
私自身,専門とする分野は英語の音声に関する研究です。私の知っている日本音声学会は,運営面で新体制となり会員の研究対象として日本語以外の言語の音声にも目が向けられるようになった学会なのです。私もこの5 年間,会の音声学普及委員会が主催する「英語音声学入門講座」の講師の一人として,音声学の普及のために尽力してまいりました。
このように,日本音声学会は,この100年の間に当然のことながら変化を遂げてきました。ただ,少子化と諸学会の細分化に伴う会員数の減少という問題は相変わらず存在し,解決の糸口が見つかっていません。
そうした状況の中,歴代の会長の挨拶で聞かれる「理事の支えがあるので心強い」という言葉は大きな救いで,私もここに同じ言葉を繰り返したいと思います。また,会員の皆さま一人ひとりの支えを頼りに,言語学系学会としてはもっとも歴史のある日本音声学会を,100周年,そしてさらにその次の100年に向けて皆さまとともに盛り上げていくべく,微力ながら最大限の力を尽くしてまいります。