第326回研究例会

2013年2月12日
日時 2013年3月23日(土曜)
時間 13:00~14:20
会場 国立情報学研究所(NII)
東京都千代田区一ツ橋1-2-1  http://www.nii.ac.jp/
世話人 (未定)
プログラム:
■13:00-14:20 口頭発表(Oral presentation)
13:00-13:40 蒔田雅子(名古屋外国語大学大学院)
聴解ストラテジー使用と手がかり ―日本語母語話者、上級学習者、中級学習者の分析から―
Makita Masako(Graduate School, Nagoya University of Foreign Studies)
Use of Listening Strategies and the keys -Analysis of 3groups; advanced learners, intermediate learners and Japanese native speakers-
発表要旨:
日本語力が十分でなく、大学での講義理解に困難を感じている中級日本語学習者への聴解ストラテジー指導の可能性を探る基礎的研究として、独話聴解におけるストラテジー使用の実態を探った。焦点を当てたのは、理解が妨げられた際に使用される推測のストラテジーとテーマや話し手など、聴解前の情報も活用できる予測のストラテジーである。故意にストラテジーを使用せざるを得ない問題を作成し、解答と解答に至る手がかりを日本語母語話者、上級学習者、中級学習者で比較した。ストラテジー使用の成否では、予測問題での母語話者・上級学習者間の比較を除き、有意差が認められ、言語力の差が結果の違いとなった。また、中級学習者に関して、推測ストラテジーと予測ストラテジー使用の 成否には違いがみられた。さらに、上級学習者誤答者と中級学習者正答者の手がかりの分析から、中級学習者にもストラテジー使用の可能性が示唆された。
13:40-14:20 波多野博顕,北村達也(甲南大学知能情報学部),林良子(神戸大学国際文化学 研究科),ドナ・エリクソン(昭和音楽大学)
調音と音響の観測に基づく英語曖昧母音の分析
Hiroaki Hatano, Tatsuya Kitamura (Faculty of Intelligence and Informatics, Konan University), Ryoko Hayashi (Graduate School of Intercultural Studies, Kobe University), and Donna Ericksona (Showa University of Music)
Analysis of English schwa vowel based on observations of articulatory and acoustic data
発表要旨:
本発表では,MRIとX線マイクロビーム(XRMB)のデータベースを用い,日英母語 話者(JNS, ENS)による英単語発話の調音観測データを分析し,曖昧母音/ə/に ついて,両母語話者の調音・音響的特徴とその相違を明らかにする。 MRIによる分析では,両母語話者男女各1名を対象に,単語発話4語中の曖昧母音 定常部のトレースから「舌背-口蓋間」と「舌根-咽頭後壁間」の狭め具合につ いて比較を行った。結果,両母語話者ともに前者では調音結合による変動が激し いが,後者では違いがみられた。JNSでは狭めが大きく変化するが,ENSでは安定 している。
XRMBによる分析では, ENS 16名(男女各8名), JNS 9名(男性4名,女性5名) を対象に,単語発話12語(/ə, ɚ, ʌ, æ/を含む各3語)の母音定常部ペレット データおよびフォルマント(F1, F2)の抽出を行い,曖昧母音(/ə, ɚ/)と完全 母音(/ʌ, æ/)の調音・音響的比較をおこなった。その結果,両母語話者で/ə, ɚ/における中舌化の方略が異なっていることが明らかになった。
例会終了後、休憩をはさんで第21回音声学セミナーを開催しますので,こちらにもご参加ください。ただし事前申込制となっておりますので,以下に従って申し込みをお願いします。
http://www.psj.gr.jp/jpn/phonetics-seminar